上段左個体は春型の標準個体ですが、右個体はただのナミアゲハではなく貴重な異常型個体です。特筆すべき点は以下になります。 ①ナミアゲハは通常、半年以内に羽化するのに対し、羽化に2年ほどかかっている点。これはかなり特殊な例になります。 ②通常個体より小型で翅全体が丸みを帯びている点。ギフチョウでは異常型としてマルギフと呼ばれるものでそのナミアゲハパターンです。ナミアゲハでは聞いたことがありません。 ③左の標準個体と比較して頂ければ分かるのですが、極端に尾状突起が短い可愛い型をしています。尾が途中で折れているわけではなく短尾型と呼ばれるものです。欠損箇所もなく非常に状態の良い個体です。 以上の3条件を揃えた個体はこれまでにこの個体以外見たことがありません。加えて色彩も淡い印象です。 また、下段はナミアゲハに似ていますがルソン島北部限定の稀種ルソンアゲハ(ベンケットアゲハ)です。後翅の輪郭が丸いのが特徴で標高2000m前後に生息地する高山タイプのアゲハです。